

季節の肌トラブル

季節の肌トラブル
一言で「肌荒れ」といっても、その症状や原因はさまざまです。今回は季節別によく見られる肌荒れの症状とその原因、改善方法について解説します。
春になると肌がかゆくなる、冬はかさつきが気になるなど、季節特有の肌トラブルやその主な原因について解説します。
花粉が皮膚に触れることで起きる肌の乾燥や赤み、かゆみなどを伴う皮膚炎を「花粉皮膚炎」と呼びます。花粉症の代表的な症状といえばくしゃみや鼻水ですが、肌荒れもそのひとつで、スギ花粉が飛散する2~4月にかけて症状の出る人が多くなります。さらに、イネ科は5~6月、ブタクサ、ヨモギは8~9月と夏や秋にもさまざまな植物の花粉が飛んでいるため、春以外の季節も注意が必要です。
春は日中と朝晩の寒暖差や、日増しに強くなる紫外線によって肌のバリア機能が低下しやすい時期です。バリア機能が低下すると、花粉が皮膚に付着することで赤みやかゆみなどの症状が出やすくなります。
花粉皮膚炎を防ぐにはまず、マスクやメガネ、サングラスなどを用いて花粉が直接肌に触れないようにすることが重要です。室内に入る前には、服や髪の毛を手で軽く払って、花粉を室内に持ち込まないようにしましょう。帰宅後は早めに顔を洗い、肌表面についた花粉をきれいに洗い流しましょう。
→春のスキンケアについて詳しくは「春先の肌トラブルは“ダブル洗顔”で解決!」をご覧ください。
紫外線を浴びると日焼けして肌が黒くなるだけでなく、シミやソバカスになったり、しわやたるみといった肌の老化を加速させます。さらに、紫外線は肌のバリア機能を低下させるため、乾燥や毛穴の目立ち、ニキビなどの肌トラブルも起こりやすくなります。
夏は汗や皮脂で肌表面はベタついていても、肌内部は乾燥しがちです。紫外線対策はもちろん、保湿もしっかり行いましょう。
→夏の紫外線対策について詳しくは「敏感肌の紫外線対策とスキンケア」をご覧ください。
秋は夏に受けた肌ダメージが表面化して、シミやソバカスが目立ってきたり、弾力の低下を感じやすい季節です。さらに、気温の低下により、肌のターンオーバーが乱れ、乾燥やザラつきを感じることもあります。
このタイミングでしっかり保湿ケアを行いバリア機能を整え、乾燥する冬に向けて備えましょう。
→秋のスキンケアについて詳しくは「秋に、敏感肌は加速する?」をご覧ください。
冬は1年のうちで最も湿度が低くなると同時に、皮脂の分泌量も少なくなるため、肌が乾燥しやすい状態になります。乾燥が進行すると肌がザラつき、粉をふいたり、かゆみを感じたりすることもあります。冬は化粧水で保湿するとともに、乳液やクリームで水分が逃げないように保護するケアも他の季節より念入りに行いましょう。
さらに、この季節は血行が悪くなりやすく、これもバリア機能の低下の原因となります。血行や代謝を改善するためには、重ね着して体を冷やさないようにする、体が温まる食材を摂る、適度な運動を行う、入浴時は湯船につかることなども必要です。
→冬のスキンケアについて詳しくは「肌の血流低下が新陳代謝の低下を招く!?」をご覧ください。
皮膚のバリア機能を高めることで、肌荒れを起こしにくい健やかな肌を保つことができます。そのために身につけたい適切なスキンケア方法や生活習慣について解説します。
余分な皮脂や肌に付着した汚れ(花粉、ほこりなど)を洗い流し、肌を清潔に保つために大切なのが毎日の洗顔です。洗顔時に重要なのは肌をこすらないことです。
まず、肌に負担を与えないように洗顔料はよく泡立て、顔全体を泡のクッションで包み込み、やさしくなでるように洗います。熱いお湯は必要な皮脂まで洗い流してしまうため、すすぎはぬるま湯で行いましょう。髪の生え際やフェイスラインまで、すすぎ残しのないよう丁寧に洗い流してください。洗顔後に顔を拭くときも、タオルでゴシゴシと強くこすらず、軽く押し当てるようにして水分を拭き取りましょう。
→洗顔方法について詳しくは「敏感肌のための洗顔講座 ─洗顔料の選び方から洗い方まで─」をご覧ください。
洗顔後の肌はとても乾燥しやすいため、すぐに化粧水で保湿しましょう。適量を手のひらに取り、保湿成分を肌に浸透させるイメージでハンドプレスします。最後は乳液やクリームでうるおいが逃げないように保護しましょう。
敏感肌の方は肌への刺激の少ない低刺激処方のものや、セラミドなどの保湿成分が含まれたタイプがおすすめです。
紫外線は1年中降り注いでいるため、紫外線対策は季節を問わず行う必要があります。日焼け止めはもちろん、日傘や帽子、長袖のカーディガンなどの小物を活用し、季節に合った紫外線対策を行いましょう。また、うっかり日焼けしてしまった後はきちんとケアすることも大切です。
→日焼け後のケア方法について詳しくは「日焼けした肌のアフターケアはクールダウン&保湿が基本!」をご覧ください。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、日中に受けたダメージを修復し、肌の再生を促します。
私たちは眠っている間、ノンレム睡眠(深い眠り)とレム睡眠(浅い眠り)を繰り返しています。成長ホルモンが最も活発に分泌されるのは、睡眠直後のノンレム睡眠のときですので、ベッドに入ると自然と眠くなり、そのまま深い熟睡状態に入れることが理想です。このような良質な睡眠をとるには以下のことに気をつけましょう。
・1日の生活リズムを整え、毎日決まった時間に就寝・起床する
・自分に合った寝具(枕、マットレス)を使う
・食事は就寝2~3時間前までに済ませる
・38℃程度のぬるめの湯船に浸かる
・ベッドに入った後はスマホを見ない
・自然光で目が覚めるようにする
肌を含めた体の細胞は日々口にするものからできています。栄養バランスのとれた食事は健やかな肌のために重要です。糖質や脂質の摂りすぎに注意して、体をつくる基となるタンパク質や、肌の健康を保つために必要なビタミン、ミネラルをバランスよく摂取しましょう。
→肌に良い食材について詳しくは「『綺麗な肌だね』と褒められるためのスキンケア、生活習慣とは?」、「肌荒れの原因となる食べ物・肌荒れによい食べ物とは?」をご覧ください。
春は花粉、夏は紫外線、秋は夏のダメージ、冬は乾燥と、私たちの肌は1年中さまざまな刺激にさらされています。バリア機能が低下していると、これらの刺激に肌が敏感に反応し、さまざまな肌トラブルが引き起こされます。バリア機能を整えるには、正しいスキンケアと規則正しい生活が重要です。もし、症状が改善しない、悪化したという場合は自己判断せず、皮膚科医に相談しましょう。