

顔の赤みケア

顔の赤みケア
敏感肌の方に多い悩みの一つが「顔の赤み」です。コンシーラーや化粧下地で目立たなくすることもできますが、スキンケアや生活習慣を見直すことで改善する可能性があります。今回は「顔の赤み」の原因と改善方法について解説します。
敏感肌の方には、痛みやかゆみがあるわけでもないのに普段から頬が赤い、赤い色ムラがあると悩んでいる方が多いようです。なぜ「顔の赤み」は敏感肌の方に多いのでしょうか。その原因について解説します。
私たちの体には、体内に侵入した雑菌やウイルス、化学物質などの異物を体外に追い出す仕組みが備わっており、これを免疫反応といいます。花粉が肌に触れることでかゆみや炎症を引き起こすのも、免疫反応の一種です。このとき、免疫反応によって起きた炎症を早く治そうと毛細血管が拡張し、皮膚の血流量が増えるため、肌が赤く見えるのです。
通常は炎症が治まるとともに毛細血管が収縮し、赤みも引きます。しかし、敏感肌の方は炎症などの肌トラブルをくり返した結果、毛細血管が収縮せずに血流量の多い状態が続き、赤みが起こりやすくなるのです。
敏感肌の方が肌トラブルをくり返してしまうのは、肌のバリア機能が低下しているからです。
バリア機能とは、うるおいを保ち、外的刺激が体内に侵入することを防ぐという、肌が本来持っている生理機能のことです。この機能は肌のいちばん外側にある角層で維持されているため、角層バリアとも呼ばれます。
わずか0.02mmほどの薄さしかない角層の中では、天然保湿因子(アミノ酸など)を含んだ角層細胞が10~20層ほど重なり、その間を細胞間脂質(セラミドなど)が隙間なく埋め尽くすことで安定した構造を保っています。しかし、細胞間脂質が不足して角層が乱れると乾燥が進行したり、外的刺激によって肌トラブルを起こしやすい状態になってしまいます。
顔の赤みをケアするには、肌のバリア機能を整え、肌トラブルを起こしにくい健やかな肌を育てる必要があります。
→角層の構造について詳しくは「肌のうるおいを保つ3つの「保湿因子」って何?」をご覧ください。
肌のバリア機能を高め、「顔の赤み」をケアする方法について解説します。
バリア機能が低下している肌は刺激に対して敏感なため、低刺激処方の化粧品を試してみてください。また、セラミドなどの保湿成分が配合されたものがおすすめです。製品を購入する前に、テスターやサンプル、トライアルセットなどで自分の肌に合うかどうか試しましょう。
→敏感肌の方の化粧品の選び方について詳しくは「敏感肌の原因と正しいスキンケア方法とは?どんな化粧品を選べばいい?」をご覧ください。
洗顔のポイントは、やさしく汚れを落とすことです。ゴシゴシ洗顔は、肌を傷つけ、バリア機能を低下させてしまうため禁物です。肌を直接こすらないようにやさしく洗ってください。
そのためには洗顔料をしっかりと泡立てることが重要です。泡立てるのが苦手な方は、泡立てネットを利用したり、泡タイプの洗顔料を使うとよいでしょう。泡で顔全体をつつみ込むようにして、汚れを浮かせます。熱いお湯を使うと必要な皮脂まで洗い流してしまい、肌が乾燥しやすくなるので、すすぎの際はぬるま湯を使用してください。また、洗顔料の洗い残しは肌荒れの原因にもなるため、すすぎ残しのないよう、鏡で確認しながら丁寧に行いましょう。洗顔後は、清潔で柔らかいタオルを肌に軽く当てるようにして水分を拭き取ります。
→敏感肌の洗顔方法について詳しくは「敏感肌のための洗顔講座 ─洗顔料の選び方から洗い方まで─」をご覧ください。
洗顔後の肌は乾燥しやすいため、なるべく早く保湿します。まずは化粧水でうるおいを与えて、肌を柔らかく整えます。肌をこすらないよう、ハンドプレスでやさしくなじませるのがおすすめです。美容液を使用する際は、化粧水の後に使用してください。最後に、うるおいが逃げないよう、乳液やクリームをお使いください。
紫外線も肌のバリア機能を低下させる原因の一つです。紫外線は1年中降り注いでいるため、紫外線対策は季節を問わず行ってください。
日焼け止めに加え、日傘や帽子などの小物も活用して上手に紫外線を防ぎましょう。
顔の赤みが気になる方は肌が敏感な状態ですので、日焼け止めを塗る前に保湿剤で肌にうるおいを与えておきましょう。
→敏感肌の紫外線対策について詳しくは「敏感肌の紫外線対策とスキンケア」をご覧ください。
肌のバリア機能を高めるためには、規則正しい生活を心がけましょう。
・1日3食の食事で、タンパク質・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取する。
・良質な睡眠をとることで、肌の再生を促す。
・適度な運動などによってストレスを発散する。
肌トラブルの原因物質を取り除くことも大切です。
・部屋をこまめに掃除し、肌への刺激となるダニやカビを取り除く。
・枕カバーやシーツはこまめに交換し、清潔な状態を保つ。
・エアコンや暖房器具を使うと肌が乾燥しやすいため、加湿器などで湿度をコントロールする(快適な湿度は40~60%)。
・髪の毛が肌に触れないようにする。
また、無意識に肌に触れてしまう方は、むやみに触れないように気をつけましょう。
今や日常生活に欠かせないのがマスク。このマスクの着用によって肌荒れを起こす方が増えています。「マスク肌荒れ」の原因と対策について解説します。
「マスク肌荒れ」の原因は、蒸れ、乾燥、摩擦の3つと言われています。マスクの中は鼻や口から吐く息で湿度が高い状態です。そこへ咳やくしゃみをするとマスク内に雑菌が繁殖してニキビができやすくなります。また、マスクを外すとマスク内に溜まっていた水分とともに肌表面の水分まで蒸発してしまいます。マスクの着脱を繰り返すことで乾燥しやすくなり、さらに、マスクの繊維がこすれることでも肌のバリア機能が低下し、赤みやかゆみの原因となります。
蒸れや乾燥を防ぐ通気性の高いマスクがおすすめです。構造にもよりますが、一般的に保湿の面ではガーゼマスクが、通気性の面では不織布マスクが優れています。また、花粉やウイルスのカット率は製品によって異なりますので、どちらを選ぶかは難しいところです。ただ、どちらの場合もマスクの中が湿ってきたり臭いを感じたりしたら、マスクを取り替えてください。不織布マスクは通常使い捨てで、1日1枚を目安に使用します。ガーゼマスクは洗濯して再利用できますが、繊維がほつれやすいので手洗いしましょう。
また、肌のバリア機能を高めるために洗顔と保湿は普段以上に丁寧に行いましょう。マスクが触れる部分はクリームを重ね塗りすることで摩擦を軽減できます。
肌トラブルをくり返すと、「顔の赤み」が起きやすくなります。これを改善するためには、肌のバリア機能を高め、外部からの刺激に強い肌をつくることが大切です。普段のスキンケアや生活習慣を見直したり、肌トラブルの原因物質を取り除いたりすることで、健常なお肌を目指しましょう。